機能美の極み。越前から世界へ ― 安立打刃物代表 池田拓視の挑戦

越前打刃物の歴史

福井県越前市は、約700年前から続く日本最古の刃物産地のひとつ。京都の刀匠が移り住み、鎌づくりに技を応用したのが始まりと伝わります。
国の伝統的工芸品に指定され、今では包丁が主な製品で国内外から注目を集めています。産地には「タケフナイフビレッジ」という拠点があり、職人の技を次世代へとつなぐ活動も盛んです。

ラグビーから工芸へ

― 池田さんは、もともと刃物の道を歩んできたんですか?

池田:いや、大学時代はラグビーに夢中で、工芸とはまったく無縁でした。

― そうなんですね!そこからどうやってこの世界へ?

池田:大学卒業のタイミングでラグビーを辞める決意をした時に浮かんだのが祖父、叔父がやっていた鍛治の仕事でした。

職人としての道

― 実際に始めてみてどうでしたか?

池田:失敗ばかりでしたよ。鍛造も刃付けも簡単じゃない。でも鉄が刃物へと変わっていく瞬間が面白くて、続けているうちに一生の仕事になると確信しました。

越前包丁の魅力

― 越前打刃物ならではの特徴は?

池田:二枚広げという技法があり薄くて作れるのが特徴です。

― 包丁などの刃物を製作する際に、鋼を2枚重ねたままハンマーで打ち、厚みを増しつつ薄く伸ばしていく、越前打刃物独特の鍛造技法ですね。

池田:安価な包丁は手軽ですが、すぐ切れなくなることが多い。越前の包丁は素材、焼き入れ、刃付けに至るまで、2枚広げの技法を含め全て突き詰めているので、そうした量販の包丁とは切れ味も持ちも全く違います。

海外での人気

― 今は海外でも人気だそうですね。

池田:はい。特に海外で評価されています。海外の小売店に行った際には実際に使っている人から喜んでいただけて嬉しかったです。

― タケフナイフビレッジにも海外からたくさん来ていますよね。

池田:そうですね。日本の工芸に魅了されて見学に来る人も多い。包丁を通じて文化がつながるのはやりがいを感じます。

未来へ

― これからの目標は?

池田:伝統工芸士として、越前打刃物を次世代にしっかり伝えていくこと。新しい挑戦もしながら技術を絶やさないようにしたいです。

大学時代はラグビーに打ち込み、工芸とは全く違う世界にいた池田さん。けれども叔父の跡を継ぐ決意をし、一から技術を学び、コツコツと努力を重ねることで、今では伝統工芸士として越前打刃物を牽引する存在になりました。その歩みには、心からの尊敬を覚えます。

安立打刃物の品質は今や世界中で高く評価され、人気のあまり入手が難しい状況です。そんな中で、AYA-TORIで受注生産という形でお取り扱いいただけたことには、深い感謝の気持ちでいっぱいです。

また池田さんは、若手の育成にも情熱を注ぎ、タケフナイフビレッジを盛り立てるためにも尽力されています。その姿勢は、日本の伝統工芸が未来へと受け継がれていく力強い証のように感じます。

伝統を継承しながらも世界へと羽ばたき、日本のものづくりを発信する池田さん。そのひたむきな姿勢に、日本人として深い感銘を受けました。

そして何より――実際に手に取っていただければ、その切れ味と美しさが「一生の相棒」になることを実感していただけるはずです。もしこの記事を通して少しでも心が動いたなら、この機会にぜひ、越前打刃物を暮らしの中に迎えていただければ嬉しく思います。